赤赤としたガラスのこと

まだ暑い去年の秋に。
千葉県九十九里にある sghrで、ガラス制作の体験をしてきました。
普段は触れることのないガラスの「生まれる瞬間」に立ち会う機会となりました。

体験したのは “吹きガラス”ではなく、
ガラスを熱して柔らかくし、専用の道具で引き伸ばして形を作る “のばし技法” というもの。

作業場に入ると、まず目を引いたのは大きな炉。
中ではガラスの原料が高温で熱せられ、赤く光る液体となっていました。
職人さんに教わりながら、熱々のガラスを扱います。
炉から取り出されたばかりのガラスは、褐色のとろりとした液体のようで、見惚れる美しさでした。
しかし、そんな悠長にしていられる時間はありません。
ガラスは冷えるとすぐに固まってしまうため、素早く作業を進めます。

道具を使い、慎重にガラスを引き伸ばして形を整えていきます。
力を入れすぎると薄くなりすぎ、弱すぎるとその部分だけ分厚くなってしまう。
力加減が仕上がりを大きく左右するため、職人さんの指示を頼りに微調整を繰り返しました。

試行錯誤の末、ようやく花が咲いている様子に似た器が完成。
光にかざすと、ガラスの中に溶け込んだ気泡がきらめき、
手作りならではの不安定な温かみが感じられました。



熱された赫灼色のガラスは柔らかく、動きがあり、まるで意志を持っているようでした。
眺めていたら、そのあと、すぐに透明で冷えていく様が潔く美しかったです。
また体験へ伺いたいです。

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